相続した空き家を売却した際に「譲渡所得」が発生すると、譲渡所得税(住民税・所得税)が課税されます。
場合によっては譲渡所得税は高額になりかねませんが「相続空き家の3,000万円特別控除」という特例を適用すれば大幅に節税できます。
ただし、本特例には適用要件や適用期日があるため、すべての空き家に適用できるわけではありません。
「相続空き家の3,000万円特別控除」とは、相続した空き家を売却したときの「譲渡所得」を最大3,000万円まで控除してくれる制度です。(家屋および敷地の相続人の数が3人以上の場合は最大2,000万円)「空き家特例」と呼ばれることもあります。
譲渡所得とは、簡単にいえば「売却益」です。次の計算式で算出されます。
譲渡所得=売却によって得た金額-{(取得にかかった金額-建物の減価償却費)+売却にかかった金額}
譲渡所得がプラスになった場合に限り、所有期間に応じて以下の税率が課税されます。
たとえば、譲渡所得が1,000万円であれば、所有期間5年超で200万円以上、5年以下で400万円近くの税金を納めなければならないのです。
相続した空き家を取得したときの金額がわからないときには「売った金額の5%」が“みなし取得費”となります。
「売った金額」の5%というと、たとえば3,000万円で売却した場合は150万円、2,000万円なら100万円……つまり、著しく低額で取得したとみなされ、その分、売却益が増えてしまうのです。
実際には譲渡所得が出なかったとしても、当時の売買契約書や重要事項説明書などを紛失してしまっていると、譲渡所得税が発生してしまう可能性は高くなります。
相続空き家の3,000万円特別控除は、譲渡所得そのものを3,000万円控除してくれる制度です。先ほどの例でいうと1,000万円の譲渡所得であれば全額控除されるため、結果として税金はゼロとなります。
3,000万円以上の譲渡所得が出ることは稀です。この特例を適用することで、相続した空き家の多くは、譲渡所得税をゼロ、あるいは大部分を節税できます。
相続空き家の3,000万円特別控除は、どんな不動産にも適用となるわけではありません。
相続空き家の3,000万円特別控除の対象は、昭和56年5月31日以前に建築された区分所有登記がされていない建物に限られます。要は、旧耐震基準で建てられた一戸建ての空き家が対象です。
特例を適用するには、除去あるいは耐震改修をしたうえで売却するか、買主が売却翌年の2月15日までに除去するか耐震改修する必要があります。
また、次のように細かい要件も定められています。
その他の要件については、国税庁ホームページをご参照ください。
相続空き家の3,000万円特別控除の適用期日は、相続開始から3年を経過する日が属する年末までです。
相続後に長く放置していた空き家は、制度の対象外となる可能性がありますのでご注意ください。
相続空き家の3,000万円特別控除は、節税効果が非常に大きい特例ですが、適用要件が多いため、まずは適用可否を確認するようにしましょう。
主な適用要件をまとめると以下の通りです。
上記以外にも細かな要件がありますので、必要に応じて税務署や税理士にご相談ください。
実は「相続空き家の3,000万円特別控除」のみならず、相続した不動産を売却したときに節税効果がある「取得費加算の特例」にも、相続開始から3年10ヶ月以内という適用期日があります。
相続した空き家が「いくらで売れるか」によっても譲渡所得は変わってくるものです。空き家の売却を検討されている場合は、弊社までお気軽にご相談ください。
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